【体験談】看護師16年の私が大学病院を退職。年収370万下がって得たもの

スクラブを着た看護師のイラスト 看護師の働き方

毎晩、夕食の支度の途中で子どもに話しかけられてイライラして、怒って、泣かせて、寝かしつけたあとにこっそり自分も泣く。

「私、何のために働いてるんだろう」

大学病院で16年働いた私が、最後の数年ずっと抱えていた気持ちです。

結論から言うと、私は大学病院を退職して、今は訪問看護ステーションで週3日のパートをしています。年収は370万円くらい下がりました。でも、子どもを怒ってばかりの毎日は終わりました。

この記事では、同じように「辞めたいけど踏み切れない」看護師ママに向けて、退職を決めた理由、転職活動でつまずいたこと、辞めたあとのリアルなお金の話まで、全部正直に書きます。

大学病院16年目、外来勤務の毎日

私は大学病院の看護学科を出て、そのまま大学病院に就職しました。16年のうち最後の3年は外来勤務。

外来の勤務は基本的に平日の8:30〜17:15。病棟に比べたら残業も少なくて、恵まれていたと思います。それでも、週に1〜2回は居残り当番があって、遅いときは20時ごろまで。土日祝日も当番制で月に2回ほど出勤していました。

居残り当番の日は、実家か義実家に保育園のお迎えをお願いして、帰宅してから子どもと話せるのは数分だけ。絵本を30分読んで、寝かせて終わり。

普通の日も、帰ってからは戦争でした。

子どもにはちゃんとした手作りのごはんを食べさせたい。その気持ちが強くて、バタバタしながら数品作る。そこに子どもが話しかけてくる。中断される。イライラする。怒る。子どもが泣く。自己嫌悪で、寝かしつけのあとに自分もこっそり泣く。

夫は3交代勤務で、月の3分の2は夜いません。実家と義実家に頼りっぱなしの生活にも、ずっと疑問がありました。

保育園のお迎えはいつも閉園時間ぎりぎり。うちの子が一番最後のことも多くて、その都度「ごめんね」と思っていました。

「もういいや」とプツッと切れた瞬間

「いつでも辞めてやる」とは、ずっと思っていました。

決定打になったのは、主任からのパワハラです。気は長いほうなので普段は聞き流していましたが、あまりに理不尽なことがあって、師長との面談のときに相談しました。

でも、事なかれ主義の師長は、そのことを追求しませんでした。

そのとき、プツッと「もういいや」と思ったんです。

師長からは以前から「いつまでも外来にはいられない。病棟に戻る可能性も高い。次の若い人に外来を譲らないと」と言われていました。病棟に戻れば夜勤があります。子育てしながらの夜勤は、私にはもう考えられませんでした。

夫に相談すると、私が疲弊しているのをわかっていて「仕事辞めてもいいよ」と言ってくれました。

娘が保育園を卒園して小学校に上がるタイミング。区切りがいいと思って、転職ではなく、一旦スッパリ辞めることにしました。

【失敗談】保育園の就労条件を忘れてた

辞めてしばらくは、本当にゆったりした時間を過ごしていました。

……が、ここで大失敗に気づきます。

下の息子はまだ保育園の年長。保育園に通い続けるには就労条件(うちの自治体は月60時間以上の勤務)があって、退職後の猶予は半年だけ。

「くそー!9月いっぱいで辞めればよかった!」

そうすれば、ゆったりした子どもとの生活をもっと楽しんでから、ゆっくり仕事を探せたのに。これから退職を考えている保育園児ママさん、辞める時期は保育園の就労条件から逆算してください。本当に。

転職活動でわかったこと。クリニックの落とし穴と転職サイトの本音

というわけで、半年以内に月60時間以上働ける仕事を探すことになりました。私の条件はこうです。

  • 大きな病院はまた夜勤があるからNG
  • 子どもの習い事の送迎で、平日のうち4日は15:30までに帰りたい

転職サイトに登録して探し始めて、まず見つけたのがクリニックの派遣パートでした。8:30〜18:00の通し勤務だけど、午前のみ・午後のみの勤務もOKという求人。週1回は午後勤務ありでしたが、習い事のない日にすればいいかなと思って、面接まで進みました。

でも、よくよく話を聞くと「できれば午後勤務も週に数回入ってほしい」とのこと。一旦は了承したものの、冷静に考えたら、それって大学病院時代と変わらなくない?と気づいてお断りしました。

もうひとつ、クリニックの求人を見ていて気づいたのが昼休憩の長さです。通し勤務だと昼休憩が2時間くらいあるところが多い。自宅が近ければ一度帰って夕食の下準備もできるけど、私の場合は微妙な距離の求人しかなくて、拘束時間ばかり長くなるのがネックでした。クリニック勤務を考えている人は、求人票の「休憩時間」と「自宅からの距離」をセットで見ることをおすすめします。

転職サイトは3つ使いました。正直な感想はこうです。

  • ナースパワー:担当の方が親身になってくれて話しやすかった。私には一番合っていた
  • ナース専科:営業の電話連絡が多めで、ちょっと拒否反応が出てしまってあまり使わず
  • インディード:自分で探せるのは良いけど、いいなと思った求人に直接問い合わせたら「今は募集していない」と言われたことも。情報の鮮度は要確認

結局、どうしようかと悩んでいたときに、大学病院時代の先輩の紹介で今の訪問看護ステーションに出会いました。最後は人のつながりでしたが、転職サイトで色々な求人を見たからこそ、自分の条件が整理できて、今の職場の良さもわかったと思っています。

訪問看護パートの今。やりがいと、綺麗事じゃない現実

今は訪問看護ステーションで、時給2000円、1日4時間で訪問3件ほど、週3日のパート勤務です。移動時間にも時給が出ます。

利用者さんとの人間関係ができてきて、「支えたい」と思える人がいて、頼ってもらえる責任感もある。一緒に働くスタッフとの距離も近くて、意見交換もしやすい。休みの融通もききます。

ただ、正直に書くと、全部が理想通りではありません。

大学病院の看護学科からそのまま大学病院に就職した私は、収益とかコストとかをほとんど考えずに看護をしてきました。今の現場では、経営を優先しているんだろうなと感じる場面もあって、大学病院で当たり前だった水準とのギャップに、割り切れない気持ちになることもあります。

訪問看護は事業所によって本当に差が大きい世界です。だからこそ、これから訪問看護を考えている人は、求人票の条件だけじゃなくて、教育体制や現場の雰囲気まで、できる限り情報収集してほしいと思います。

年収370万ダウンのリアル。失ったものと得たもの

お金の話も正直に書きます。

子どもとの時間を優先して扶養内で働いているので、大学病院時代と比べると年収は370万円くらい下がりました。

「何とかなる」と思っていましたが、生活水準はなかなか落とせないもので、毎月少しだけ赤字です。今までのドンブリ勘定でも貯金が増えていた生活とは違います。旅行や外食は減りました。家計を見直して、投資信託や高配当株で資産形成の勉強もしていて、資産全体では大きく減ってはいませんが、正直、お金の不安がゼロとは言えません。

じゃあ後悔しているかというと、していません。

今は、パンを手作りしたり、麹の調味料を仕込んだり、料理を楽しめています。あんなにイライラの原因だった料理を、です。ハンバーグや卵焼きを子どもと一緒に作る日もあります。

学校から帰ってくる子どもを家で待って、おやつを食べながら今日のできごとをゆっくり聞いて、友達と遊びに行くのを見送る。平日に一緒に公園や図書館に行く。以前は考えられなかった生活です。

夫からは「仕事の愚痴を言わなくなったね。穏やかになった」と言われました。

「何のために働いてるんだろう」の答えは、まだ完璧には見つかっていません。でも少なくとも今は、子どもを泣かせて自分も泣く夜はなくなりました。

まとめ:辞めたいと思っているあなたへ

私の経験から言えることは3つです。

  • 辞める時期は保育園の就労条件から逆算する(半年の猶予、月60時間などの条件を先に確認!)
  • 求人は条件を紙に書き出してから探す(夜勤の有無、帰りたい時間、休憩時間と自宅の距離)
  • 転職サイトは情報収集のためにも早めに登録しておく(相場観がわかると、いざ辞めるときに慌てない)

年収が下がるのは事実です。でも、あのまま大学病院で働き続けて、怒ってばかりのお母さんでいるより、私は今の生活を選んで良かったと思っています。

60点のおかあさんで、いいんです。

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